2013年01月21日

患者・安倍晋三と主治医・日比紀文氏との感動対話「潰瘍性大腸炎を克服する(1)」

以下、「消化器ひろば」インタビューより引用。

安倍首相の潰瘍性大腸炎インタビュー

<20歳前後の若い世代に多発する>

日比:
40年にわたる潰瘍性大腸炎との闘いの歴史、および受療されました治療についての実感をお伺いしたく思います。

安倍:
最初は病名のつかない時期もあります。中学3年生の時、腹痛の後に下痢と血便が続き、便器が真っ赤に染まってびっくりしました。高校生になってからも年に1回ぐらい同じ症状が起こりました。でも1週間もすると血便は止まり、元気になるので、近くの医院でもらった整腸薬みたいなものを飲んでいました。今、思えば学期末試験を控えた、ストレスの多い時期に発病したように思います。

日比:
この病気は20歳前後の若い世代に多発するのが特徴です。受験や就職のと時期に発症するので若い人はつらいと思いをします。精神的なものも誘因となり発症するのかもしれません。持続性・反復性の下痢、粘血便が特徴的な症状です。テネスムス(しぶり腹)といって頻回にトイレに行くのですが、すっきり感がないことも苦しみの1つです。厚生労働省が「難病」に指定しています。原因は免疫異常、腸内菌異常などが指摘されていますが、不明です。私は内視鏡や血液マーカーから臨床像を観察していると複数の原因からなる「潰瘍性大腸炎症候群」ではないかと思うことがあります。発症されたのが40年前ですから患者数も非常に少なく一般医には関心がなかったかもしれません。診断がついたのはいつのことですか?


安倍:
神戸製鋼所に入社してから症状が悪化しましたので会社の病院で検査を受けて潰瘍性大腸炎と分かりました。発症から約10年後のことです。そのあと慶応病院消化器内科の朝倉均先生によりきちんとした治療がはじまり、炎症性腸疾患治療薬のサラゾピリンやステロイド(副腎皮質ホルモン)を使いました。その後、日本で患者は急増し、治療法も進歩しました。私は潰瘍性大腸炎の変遷とともに人生を歩んできた患者と申せます。


日比:

「消化器ひろば」の創刊号にお迎えするのにもっともふさわしいゲストです。(笑い)日本で本格的な潰瘍性大腸炎の薬物治療が始まったのは欧米にずいぶん遅れて1970年代からです。寛解(症状の消失、軽快)をもたらす作用のあるステロイドと、寛解へ導き、寛解を保持する働きをもつサラゾピリン(5−アミノサリチル酸=5-ASA製剤のひとつ)が使われるようになり、患者の苦しみもだいぶ減りました。その後、サラゾピリンの仲間でより副作用の少ないペンタサ、アサコールが開発され、腸に注入する(注腸)タイプや座薬が創られました。またステロネマやステロイドの注腸タイプが開発されました。さらに寛解の維持によく効く免疫調整薬なども見つかり、治療の選択技が広がりました。この間、日本ではタクロニムス(免疫抑制剤)療法、白血球除去療法が試みられ、一般的な治療となってきました。その後、政治家を目指して1993年に初の挑戦で衆議院議員に当選されましたね。


安倍:
なぜか2回目(1996年)の選挙のほうで大変つらい思いをしました。たびたび強い便意が起こるのですが、選挙カーから降りるわけにもいかないので脂汗をかいて我慢していました。本当に苦しかったですね。最大の危機は1998年、自民党国会対策副委員長を務めていたときでした。点滴だけの生活がつづき、体重は65kgから53kgに減りました。そこで政治家の進退をかけて慶応病院へ3ヶ月入院しました。政治家は志を遂げるために自分の病気は徹底して秘匿にしなければなりません。病気は大きなマイナスです。家内の昭恵は「政治家なんて辞めてください」と涙ながらに訴えるし、身近な人は病気を公表して政界からの引退を進めましたが、私は治療の結果で決めようと考えていました。腸の全摘手術も検討されました。このときペンタサの注腸療法が良く効いて日常生活にはほとんど問題がなくなりました。ここで政治家への道を邁進することにしました。


日比:
お話を少し戻させていただきます、私どもの病院を受診されてから30年以上になりますが、日本人医師が潰瘍性大腸炎の研究論文を初めて発表したのは1928年のことで、その症例数は10人でした。私が医学部を卒業した1973年当時、慶応大学病院の患者数もわずか10人程度で日本全体でも1000人前後でした。私は潰瘍性大腸炎の研究に取り組むことになったのですが、海外の文献を頼りに細々と勉強していました。現在では患者数は13万人を越えました。米国は50万人で、元大統領のD.D.アイゼンハワーはクローン病、J.F.ケネディは潰瘍性大腸炎と言われています。




posted by アンナ at 21:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | IBC情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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